エピソード集 頸動脈毬の除去 昭和17(1942)年
肺動脈の造影研究に没頭している頃、師匠の瀬尾教授から頸動脈毬について研究するように言われました。頸動脈毬とは、血液中の化学成分に強く反応し、呼吸の調節に関与していると言われていました。メカニズムは不明でしたが、その摘出で、劇的な疼痛の除去効果がでる症例を発見しました。
また、約1,000例の喘息患者の頸動脈毬の除去を実施し、90%以上に何らかの効果を得ました。その結果を独文誌や英文誌に論文を発表したところ、海外から問い合わせが殺到し、副腎皮質ホルモンのコルチゾールの登場まで多くの手術が行われました。頸動脈毬を除去することでコルチゾール様物質が出るのではないかと考えていたようです。