エピソード集
物資不足から生まれた手術法 (ガーゼの代わりに新聞紙を消毒して)
昭和20(1945)年
昭和20(1945)年の敗戦後は、すべての物資が非常に乏しい状況でした。患者の肌には本物のガーゼを使いましたが、その上から入念に消毒した新聞紙を使うこともありました。
中山恒明は「医療物資が乏しいのなら、脱脂綿やガーゼのいらない、血を流さない手術方法を見つければいいのだ」と考え、局所解剖の研究に取り組みました。それまでのドイツ医学では、胃の大手術の場合、30ヵ所の血管を糸で一本一本縛れ、と教えていました。
胃に向かう血管の根部を3ヵ所縛れば胃切除が可能であることを証明し、結紮の手間を省き、手術時間を短縮し、必要な資材が節約できることを発見しました。